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呪術廻戦

【呪術廻戦】夏油傑を徹底解説!最強の特級術師が闇堕ちした理由と五条悟との絆

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『呪術廻戦』で最も悲劇的なキャラクターは誰か
その問いに、多くのファンが「夏油傑」の名前を挙げるのではないでしょうか。

特級呪術師として非術師を守るために戦っていた好青年が、やがて非術師を「猿」と蔑み、皆殺しにしようとする特級呪詛師へと転じる。
この「正義の反転」とも呼ぶべき劇的な転落は、呪術廻戦という作品のテーマを象徴する物語のひとつです。

さらに夏油傑は、生前だけでなく死後もなお物語を動かし続けるという、極めて特異な立ち位置を持つキャラクターでもあります。
劇場版『呪術廻戦 0』では物語の中心に据えられ、本編では羂索に肉体を利用されることで渋谷事変や死滅回游の引き金となりました。

この記事では、夏油傑のプロフィール・能力・過去・五条悟との関係性・死後の役割、そして「なぜ彼の正義は反転したのか」という独自考察まで、徹底的に解説します。

※この記事は『呪術廻戦』のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

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夏油傑のプロフィール

項目 内容
名前(読み方) 夏油傑(げとう すぐる)
声優 櫻井孝宏
誕生日 2月3日
所属 元・東京都立呪術高等専門学校 → 盤星教
等級 特級術師 → 特級呪詛師
術式 呪霊操術

夏油傑は、東京都立呪術高等専門学校に所属していた特級呪術師です。
『呪術廻戦』強さランキングでは第8位にランクインしており、五条悟と同級生であり、作中の時代において特級の等級を持つ数少ない術師の一人でした。

高専在学中は呪術師として非術師を守る使命に燃えていましたが、ある事件を機に呪詛師へと転向。
以降は宗教団体「盤星教」の教祖として活動し、呪術師だけの世界を実現するために非術師の殲滅を目論むようになります。

声優は櫻井孝宏が担当しており、学生時代の爽やかさと呪詛師転向後の冷徹さを巧みに演じ分けています。

 

人物像・性格:「最強の親友」の素顔

学生時代:正義感にあふれた好青年

高専時代の夏油傑は、まっすぐな正義感を持つ好青年として描かれています。
非術師を呪霊から守ることに強い使命感を抱き、呪術師としての職務に真摯に向き合っていました。

五条悟とは同級生であり、共に特級呪術師という稀有な存在として、互いの実力を認め合う対等な関係にありました。
五条の軽薄な言動にツッコミを入れつつも、根底では深い信頼関係を築いていた様子が過去編で描かれています。
この頃の夏油は、後に呪詛師となる人物とは到底思えないほど、穏やかで思いやりのある人物でした。

 

転向後:冷酷さの裏に残る「守りたい」という衝動

呪詛師に転じた後の夏油は、非術師を「猿」と呼んで蔑み、その殲滅を公言するようになります。
一見すると学生時代とは正反対の人間に変貌したように映ります。

しかし注目すべきは、夏油の根底にある「弱者を守りたい」という衝動そのものは変わっていないという点です。
変わったのは、「誰を弱者と見なすか」という定義だけでした。
学生時代は非術師を守るべき弱者と見なしていた夏油が、転向後は呪術師こそ守られるべき存在だと再定義したのです。
この「正義の反転」については、後の独自考察セクションで詳しく掘り下げます。

 

宗教指導者としてのカリスマ性

夏油傑が他の呪詛師と一線を画しているのは、力による支配ではなく「理念」で人を導くカリスマを持っていた点です。
宗教団体「盤星教」の教祖として多くの信者を率い、美々子・菜々子をはじめとする呪詛師たちからは絶対的な崇拝を受けていました。

力で屈服させるのではなく、言葉と理念で人の心を掌握する。
これは呪術廻戦に登場するヴィランの中でも極めて特異なスタイルです。
両面宿儺が圧倒的な暴力で他者をねじ伏せる「力の王」であるとすれば、夏油傑は思想と言葉で人を導く「理念の指導者」というべき存在でした。

この宗教指導者型ヴィランとしての側面は、夏油というキャラクターの奥深さを形成する重要な要素です。
信者たちが夏油に従ったのは恐怖からではなく、彼の語る「呪術師のための世界」というビジョンに心から共鳴したからであり、それこそが夏油のカリスマの本質だったといえるでしょう。

 

能力・戦闘スタイル:呪霊操術と特級術師の実力

呪霊操術の仕組み

夏油傑の生得術式「呪霊操術」は、取り込んだ呪霊を自在に操ることができる術式です。
一度取り込んだ呪霊は、夏油の意のままに使役でき、複数の呪霊を同時に操ることも可能とされています。

取り込める呪霊の数に上限はないとされており、夏油は最大で数千体以上の呪霊をストックしていたと描かれています。
状況に応じて最適な呪霊を選択して戦わせることができるため、あらゆる局面に対応できる汎用性の高さが呪霊操術の最大の強みです。

ただし、呪霊を取り込む際には呪霊を球状にして「飲み込む」必要があり、その味は極めて不快なものであると夏油自身が語っています。
この「まずい」という描写は一見コミカルですが、夏油が呪術師として戦うたびに不快な思いを重ね続けていたことを暗示しており、彼の精神的な消耗を象徴する細部でもあります。

 

極ノ番「うずまき」

夏油傑の切り札ともいえる奥義が、極ノ番「うずまき」です。
これは取り込んだ呪霊を一つに圧縮・統合して放つ大技であり、膨大な呪力を凝縮した一撃として繰り出されます。

「うずまき」は単なる攻撃手段にとどまらず、取り込んだ呪霊が保有していた術式を抽出する能力も備えているとされています。
この性質は後に羂索が夏油の肉体を利用した際に重要な意味を持つことになります。

 

体術と薙刀術

夏油傑は術式だけでなく、体術においても高い実力を持っています。
薙刀を用いた近接戦闘にも長けており、呪霊操術と体術を組み合わせた戦闘スタイルは、攻守にバランスの取れたものです。

乙骨憂太との戦闘では、呪霊操術による遠距離からの物量攻撃と、薙刀による近接戦闘を使い分ける姿が描かれました。
単に呪霊を操るだけの術師ではなく、自らの身体能力も戦闘に組み込めるフィジカルの強さが、夏油の総合力を支えています。

 

特級術師としての評価

夏油傑は作中において特級呪術師の等級を持つ数少ない存在の一人であり、五条悟と並び称される実力者でした。
呪霊操術という術式の特性上、使役する呪霊の質と量によって戦力が大きく変動するという特徴がありますが、膨大なストックと戦術眼を兼ね備えた夏油は、正面からの戦闘でも一線級の強さを発揮します。

五条悟が覚醒を果たして「最強」となった後は実力差が開いたとされていますが、それでも特級の等級にふさわしい圧倒的な戦闘力を持っていたことに変わりはありません。

 

過去と転落:呪術師から呪詛師へ【ネタバレ注意】

※ここからは物語の核心に触れるネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

夏油傑が呪詛師に転じるまでの過程は、一つの決定的な事件で突然変わったのではなく、複数の出来事が積み重なった結果として描かれています。

 

星漿体護衛任務:最初のひび割れ

夏油傑の転落の始まりは、星漿体・天内理子の護衛任務にまで遡ります。
この任務において、五条悟と夏油は天内理子を守るために奔走しますが、最終的に天内は命を落とす結末を迎えます。

この事件で五条悟は死の淵から覚醒を果たし、反転術式を習得して「最強」へと到達しました。
しかし、この覚醒は皮肉にも五条と夏油の間に埋めがたい実力差を生むことになります。
かつて「二人で最強」だった関係が崩れ、夏油は次第に孤立感を深めていったと考えられます。

さらに、天内の死を目の当たりにした宗教団体の信者たちが歓声を上げる場面は、夏油の内面に深い衝撃を残しました。
命をかけて守ろうとした少女の死を喜ぶ非術師の姿は、夏油の中で「非術師を守る意味」への疑問を芽生えさせた最初のきっかけだったのかもしれません。

 

九十九由基との対話:思想の種

特級呪術師・九十九由基との対話も、夏油の思想形成に影響を与えた重要なエピソードです。
呪霊が非術師の負の感情から生まれるという原理に対して、九十九は「呪力を持たない人間をすべてなくせば呪霊はいなくなる」という理論的な可能性を語ったとされています。

九十九自身はこの考えを実行に移す意図はなかったようですが、精神的に追い詰められつつあった夏油にとって、この言葉は一つの「解答」として心に刻まれてしまいます。
非術師がいなければ呪霊は生まれない。
呪霊がいなければ呪術師が苦しむ必要もない。
このシンプルすぎる論理が、後の夏油の行動原理へとつながっていきます。

 

村での事件:決定的な転換点

夏油が呪詛師へと転じる決定的な転換点となったのは、ある村での任務中に起きた事件です。
非術師によって虐待されていた呪術の素質を持つ少女たちを発見した夏油は、この出来事によって完全に心が折れてしまいます。

呪術師は非術師を守るために命を懸けて戦っている。
しかし、その非術師たちは呪術師の子供を平然と虐げている。
この矛盾に直面した夏油は、もはや非術師を「守るべき存在」と見なすことができなくなりました。

この事件の後、夏油は村の非術師112人を殺害し、呪詛師として認定されます。
それは一人の正義感あふれる呪術師が、積み重なった矛盾と絶望の果てに迎えた転落の瞬間でした。

 

盤星教の設立:新たな「正義」の実行

呪詛師となった夏油は、宗教団体「盤星教」を設立します。
表向きは宗教活動を行いながら、裏では呪霊を集め、来たるべき「百鬼夜行」の準備を進めていました。

盤星教を通じて夏油が目指したのは、呪術師だけの世界の実現です。
非術師を排除し、呪霊が生まれない世界を作ることで、呪術師が苦しむ必要のない社会を築くという、彼なりの「理想」でした。
その手段は極端であっても、「苦しむ者を救いたい」という根底の衝動は、学生時代から変わっていなかったともいえます。

 

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五条悟との関係性:対称的な二人の道

夏油傑を語るうえで、五条悟との関係性は避けて通れないテーマです。
この二人は作中でも屈指の深い絆で結ばれたキャラクターであり、その絆と別離は呪術廻戦という作品の根幹を形成しています。

 

「二人で最強」だった日々

高専時代、五条悟と夏油傑は共に特級呪術師の等級を持つ唯一の同級生でした。
実力が拮抗していた二人は、互いを唯一の対等な存在として認め合い、時に軽口を叩きながらも深い信頼で結ばれていました。

この時期の二人の関係は、「二人で最強」と誇り合った言葉に象徴されています。
一人では背負いきれない重圧も、対等な存在がそばにいることで乗り越えられる。
五条にとっても夏油にとっても、互いがかけがえのない存在だったのです。

 

同じ目的から分岐した手段の違い

五条と夏油は、実は同じ目的を持っていました。
それは「呪術師が不条理に苦しめられない世界を作る」こと。
しかし、その目的を達成するための手段は、二人の間で決定的に分岐しました。

五条悟は「仕組みを変える」道を選びました。
腐敗した呪術界の上層部を嫌悪しながらも、教育者として次世代の呪術師を育てることで、内側から世界を変革しようとしたのです。

一方、夏油傑は「非術師を排除する」道を選びました。
呪霊の発生源である非術師そのものをなくすことで、呪術師が苦しむ根本原因を断とうとしたのです。

同じ理想から出発しながら、五条は「教育による変革」を、夏油は「排除による解決」を選んだ。
この対称的な分岐は、二人のキャラクターの本質的な違いを浮き彫りにしています。
五条が「最強」として個人の力を持ちながらも制度を変える道を選べたのに対し、夏油は個人の限界に直面して極端な手段に走らざるを得なかった。
そこには、力の差が生んだ精神的な余裕の違いがあったのかもしれません。

 

百鬼夜行での再会と最期

呪詛師に転じた夏油傑は、最終的に「百鬼夜行」を引き起こします。
大量の呪霊を率いて新宿・京都を襲撃するこの事件は、劇場版『呪術廻戦 0』の中心的なエピソードとして描かれました。

そして、この百鬼夜行の果てに五条悟と夏油傑は再び対峙します。
かつての親友を自らの手で倒さなければならないという苦悩を抱えながら、五条は夏油との最後の対話に臨みます。

この最期の場面で交わされた言葉は、多くのファンの心に深く刻まれています。
夏油が最後に遺した言葉が呪いではなかったことに対して、五条が安堵にも似た感情を見せたとされる描写は、二人の関係性の深さを凝縮した名場面でした。

五条悟は後に、夏油について「親友だ」と現在形で語っています。
過去形ではなく現在形であることの意味は重く、道を違えてなお、五条にとって夏油は唯一無二の存在であり続けていたことを示しています。

 

死後も物語を動かす存在:羂索との関係【ネタバレ注意】

夏油傑が呪術廻戦において極めて特異なキャラクターである理由の一つが、死後もなお物語の中心に存在し続けたという点です。

 

羂索による肉体の乗っ取り

百鬼夜行で命を落とした夏油の肉体は、千年以上にわたり暗躍してきた呪術師・羂索によって乗っ取られました。
羂索は脳を入れ替えることで他者の肉体と術式を利用する術式を持ち、夏油の肉体を「器」として使用することで、呪霊操術を手に入れました。

外見は夏油傑そのものでありながら、中身は完全に別人。
この「偽夏油」の存在は、五条悟をはじめとする呪術師たちに大きな動揺を与えることになります。
特に五条にとっては、親友の姿をした別人と対峙するという、精神的に極めて過酷な状況を強いられることになりました。

 

渋谷事変・死滅回游の鍵

羂索が夏油の肉体を利用して引き起こした事件は、作品の後半を大きく動かしました。

渋谷事変では、夏油の姿で五条悟の前に現れた羂索が、五条の動揺を突いて獄門疆による封印を成功させます。
現代最強の呪術師を戦場から排除したこの一手は、作品全体の転換点となりました。
五条が封印された直接的な原因は獄門疆の効果ですが、その発動条件に夏油の存在が深く関わっていた点は見逃せません。

さらに、死滅回游の開幕もまた、羂索が夏油の肉体(と呪霊操術)を利用して実行したものです。
呪霊操術の極ノ番「うずまき」によって術式を抽出・付与する能力が、死滅回游という壮大なゲームの仕組みを支えていました。

 

生前と死後の二重構造

ここで注目すべきは、夏油傑というキャラクターが「生前」と「死後」の二段階で物語を動かしているという構造的な特異性です。

生前は、百鬼夜行の首謀者として物語の敵役を担いました。
劇場版『呪術廻戦 0』では乙骨憂太の最大の敵として登場し、物語の中心軸を形成しています。

死後は、自らの意志とは無関係に、肉体が羂索の道具として利用されることで、渋谷事変と死滅回游という本編最大級のエピソードを間接的に引き起こしました。

つまり夏油傑は、生きている間は自らの意志で物語を動かし、死後は自らの肉体が別の意志によって物語を動かすという、二重の物語的役割を担っているのです。
一人のキャラクターが生前と死後で二度にわたって作品の根幹に関わるケースは極めて稀であり、夏油傑というキャラクターの物語上の重要性を際立たせています。

 

独自考察:夏油傑の「正義」はなぜ反転したのか

ここからは、筆者独自の考察をお届けします。

行動原理は一貫している:変わったのは「弱者の定義」だけ

夏油傑を「闇堕ちした元善人」と見るのは、やや表面的な理解ではないかと筆者は考えています。

夏油の行動原理を時系列で追うと、実は一貫したものが見えてきます。

  • 学生時代:「弱い非術師を、呪霊から守る」
  • 転向後:「弱い呪術師を、非術師の生む呪霊から守る」

どちらの時期においても、夏油の根底にあるのは「弱者を守りたい」という衝動です。
変わったのは、誰を「弱者」と見なし、誰を「脅威」と見なすかという定義だけでした。

学生時代の夏油は、呪力を持たず呪霊に対抗できない非術師を「弱者」と定義し、守ることに使命感を持っていました。
しかし、非術師のために命を懸けて戦い続ける中で、感謝されることもなく仲間を失い続ける現実に直面します。
さらに、非術師が呪術師の子供を虐待する場面を目の当たりにしたことで、夏油の中の「弱者」と「脅威」の定義が入れ替わりました。

呪霊を生み出す非術師こそが諸悪の根源であり、呪霊に立ち向かわされる呪術師こそが守られるべき弱者である。
こう再定義した瞬間、夏油の「正義」は反転し、行動は180度変わったのです。

 

宗教指導者型ヴィランの特異性

夏油傑のヴィランとしての特異性は、「力ではなく理念で人を動かす」点にあります。

少年漫画に登場するヴィランの多くは、圧倒的な力によって恐怖を与え、支配する存在です。
両面宿儺はまさにその典型であり、純粋な暴力によって世界に君臨しました。

しかし夏油傑は、力こそ持っているものの、人を動かす手段として主に「言葉」と「理念」を用いました。
盤星教の信者たちは夏油の力に怯えて従ったのではなく、彼の語る理想に共鳴して自発的に従ったのです。

これは現実世界における宗教指導者やカリスマ的指導者の構造と重なります。
力による支配は指導者が倒れれば瓦解しますが、理念による結束は指導者の死後も続く可能性がある。
夏油が構築した盤星教という組織は、まさにそうした「理念の力」で成り立っていたといえるでしょう。

少年漫画のヴィランとしてこのような宗教指導者型の敵を描いた点は、呪術廻戦という作品の成熟度を示すものでもあります。

 

五条との対比が浮き彫りにする「個人の限界」と「仕組みの力」

夏油と五条の対称構造は、「個人の力で世界を変えられるか」という問いを投げかけています。

五条悟は「最強」という個人の力を持ちながらも、力だけでは世界を変えられないと悟り、教育という「仕組み」の力に賭けました。
一人で戦い続けるのではなく、次の世代を育てることで呪術界を内側から変えようとしたのです。

一方、夏油傑は「最強」ではなかったがゆえに、個人の限界をより痛切に感じていた可能性があります。
非術師を守る戦いの中で消耗し、仲間を失い、それでも世界は変わらない。
その無力感が、「仕組みを変える」という漸進的なアプローチではなく、「根本原因を排除する」という急進的な解決策へと彼を駆り立てたのではないでしょうか。

興味深いのは、五条が「最強であるがゆえに余裕を持てた」のに対し、夏油は「最強でないがゆえに追い詰められた」という構図です。
五条が覚醒によって最強となった瞬間から、二人の道は分岐し始めた。
最強の座が二人の間に壁を作り、結果として夏油を孤独と絶望の中に置き去りにしてしまった。

五条の覚醒がなければ、夏油は闇堕ちしなかったかもしれない。
この皮肉な因果関係は、五条悟というキャラクターが背負う最大の業であり、彼が夏油のことを現在形で「親友」と呼び続ける理由の一つでもあるのかもしれません。

 

呪術廻戦における「正義とは何か」を問うキャラクター

夏油傑の存在は、呪術廻戦という作品全体に「正義とは何か」という問いを投げかけています。

非術師を守ることは正義か。
ならば、その非術師が呪術師を虐げているとき、守り続けることは本当に正義なのか。
呪術師だけの世界を作ることは悪か。
しかし、それによって呪霊が生まれなくなるのなら、犠牲を払ってでも実現すべきではないのか。

夏油の主張は極端であり、その手段は到底許容されるものではありません。
しかし、彼が抱えた矛盾や苦悩は、読者に「正義」の定義を改めて考えさせる力を持っています。

正義は立場によって変わる。
守るべき相手の定義が変われば、正義の行動も変わる。
夏油傑は、この普遍的なテーマを体現するキャラクターとして、呪術廻戦という作品に深い奥行きを与えているのです。

 

まとめ

夏油傑は、呪術廻戦という作品において最も多層的な魅力を持つキャラクターの一人です。

正義感あふれる好青年から特級呪詛師への転落。
呪霊操術と体術を兼ね備えた特級術師としての実力。
宗教指導者として理念で人を導くカリスマ性。
そして五条悟との唯一無二の絆と決別。
いずれをとっても、夏油傑というキャラクターには一面的に語りきれない深みがあります。

さらに、生前は百鬼夜行の首謀者として、死後は羂索の器として、二重に物語を動かし続けたという構造的な特異性は、他のキャラクターには見られない唯一無二の役割です。

そして何より印象的なのは、夏油の「正義の反転」という悲劇です。
弱者を守りたいという一貫した衝動が、弱者の定義の変化によって正反対の行動に転じる。
この構造は、正義とは何かという問いを読者に突きつけ、呪術廻戦という作品のテーマを深く掘り下げています。

『呪術廻戦』を読み返す際は、夏油傑の言動の裏にある「守りたい」という衝動に注目してみてください。
そこには、悪役としてではなく、正義が反転してしまった一人の人間としての、痛切な姿が見えてくるはずです。

 

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