千年の時を超え、呪術の世界に君臨し続けた「呪いの王」両面宿儺。
『呪術廻戦』という作品において、彼はまさしく物語の中心であり、主人公・虎杖悠仁の最大の宿敵にして、すべての呪術師が恐れる絶対的存在でした。
この記事では、両面宿儺のプロフィール・術式・領域展開・過去・ストーリーでの活躍を網羅的に解説するとともに、完結した今だからこそ見える独自の考察をお届けします。
「宿儺の強さの秘密を知りたい」「宿儺の正体や最期が気になる」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
※この記事には『呪術廻戦』全編のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
両面宿儺のプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前(読み方) | 両面宿儺(りょうめんすくな) |
| 声優 | 諏訪部順一 |
| 等級 | 特級呪物(特級呪術師相当) |
| 異名 | 呪いの王 |
| 外見的特徴 | 腕4本、目4つ、口2つの異形(完全体時) |
| 嗜好 | 食べること |
| 術式 | 御廚子(みづし) |
| 領域展開 | 伏魔御廚子(ふくまみづし) |
両面宿儺は、千年以上前の呪術全盛期、平安時代に実在したとされる伝説の呪術師です。
当時の呪術師たちが総力を結集しても打ち倒せなかったという圧倒的な力を持ち、死後はその力が20本の指に分割され、特級呪物として封印・管理されてきました。
『呪術廻戦』強さランキングでは第1位に君臨する宿儺は、作中では「呪いの王」の異名で呼ばれ、呪霊たちからも畏怖と崇拝の対象とされています。
なお、名前の由来は日本書紀に登場する「両面宿儺」で、飛騨国に現れたとされる異形の怪物がモデルになっていると考えられています。
人物像・性格:天上天下唯我独尊の「呪いの王」
……ふん。 https://t.co/sPh1SSwf7z pic.twitter.com/jsRQufP7Hr
— 両面宿儺 (@RyomenSukuna_FG) February 21, 2026
宿儺の人物像を一言で表すなら、「己の快不快のみで世界を裁く絶対者」といえます。
その性格は残忍にして尊大。
人間を虫けら同然に扱い、気まぐれで命を奪うことにも一切のためらいがありません。
渋谷事変では指15本分の力を取り戻した状態で、広範囲を壊滅させる所業を見せました。
このとき宿儺が見せた笑みは、まさに「呪いの王」の名にふさわしい凶悪さを体現していたといえます。
しかし一方で、宿儺は単なる暴虐の化け物ではありません。
戦闘においては極めて冷静で緻密な判断を下し、相手の術式や戦略を的確に見抜く知性の持ち主でもあります。
五条悟との決戦では、領域展開の出力調整や術式反転のタイミングなど、高度な駆け引きを繰り広げました。
「力だけの怪物」ではなく「知の王」でもある点が、宿儺の恐ろしさを際立たせています。
他のキャラクターとの関係性も特徴的です。
裏梅に対しては千年来の主従関係を維持し、一定の信頼を寄せている様子がうかがえます。
裏梅は宿儺にとって数少ない「対等ではないが、そばに置くことを許した存在」であり、千年の時を超えて再び仕えるその忠誠は、宿儺の人間関係の希少さを際立たせています。
また、伏黒恵に対しては物語序盤から異様な関心を示し、それが後の「受肉」という衝撃的な展開につながっていきました。
伏黒への興味は十種影法術という術式への関心にとどまらず、「潜在能力のある器」としての価値を見出していたと考えられています。
さらに、虎杖悠仁に対しては基本的に見下した態度を取りつつも、最終的に自身と対峙する存在として一定の関心を寄せていた節があります。
宿儺は他者に興味を持つこと自体が稀であり、こうした関係性の一つひとつが、物語を動かす重要な伏線として機能していました。
術式・能力を徹底解説
御廚子(みづし):不可視の斬撃
違う…
このポージングじゃないんだ…█開(フーガ)は、このシーンをフィギュア化して欲しいんだ…
いや、これも欲しい‼️
両方だ😍👍💕 https://t.co/wvp0HoQ57A pic.twitter.com/BiIqeLk2uD
— みっくん (@Mikkun_Tk23) April 1, 2024
宿儺の生得術式「御廚子(みづし)」は、目に見えない斬撃を繰り出す能力です。
シンプルでありながら、その威力と汎用性は作中最高峰。
術式の名前が「台所」を意味する点は、宿儺という存在の本質に関わる重要な要素です(詳しくは後述の独自考察で解説します)。
解(かい) は、通常の斬撃です。
不可視かつ高速で放たれ、ほとんどの呪術師や呪霊にとっては認識することすら困難とされます。
一見シンプルですが、宿儺の膨大な呪力によって底上げされた「解」は、それだけで特級レベルの脅威となります。
捌(はち) は、対象の呪力量や強度に応じて威力が自動調整される斬撃です。
いわば「一撃必殺の太刀」であり、どれほど強固な防御を持つ相手であっても、理論上は一太刀で断つことが可能とされています。
漏瑚に対して使用した場面では、特級呪霊の体を一瞬で切断する凄まじい威力を見せました。
竈(カミノ)/開(フーガ) は、炎を操る術式です。
宿儺の術式体系の中でもひときわ異質で、斬撃ではなく炎の矢を放つ攻撃となっています。
魔虚羅を討伐した際や漏瑚を一撃で消し飛ばした際に使用され、その威力は作中でも屈指のものでした。
なお、この炎の術式には「領域展開中を除く多対一での使用禁止」という縛りが課されているとされ、これにより威力がさらに増幅されていると考えられています。
注目すべきは、「解」「捌」「竈」という術式名がすべて調理工程に由来している点です。
「解」は下ごしらえ、「捌」は魚をさばく工程、「竈」は火を通す工程。
この命名の法則性は、宿儺の本質に迫る重要な手がかりとなります。
領域展開「伏魔御廚子」:結界を閉じない最強の領域
#呪術廻戦 じゅじゅずかん
領域展開「伏魔御廚子」(術式)
【呪力を帯びたものに「捌」が、呪力のないものには「解」が絶え間なく浴びせられる】 pic.twitter.com/xYZN517ZTF— 呪術廻戦【公式】 (@jujutsu_PR) April 10, 2024
宿儺の領域展開「伏魔御廚子(ふくまみづし)」は、作中に登場する領域展開の中でも極めて特殊な性質を持っています。
通常の領域展開は結界を閉じて相手を閉じ込めることで必中効果を発動しますが、伏魔御廚子は結界を閉じません。
これは相手に「逃げ道を与える」という縛りを自らに課すことで、その代償として領域内の攻撃威力を飛躍的に高めるという仕組みです。
つまり、逃げられるリスクを背負う代わりに、領域内の破壊力を極限まで引き上げているのです。
伏魔御廚子の効果範囲は最大で半径約200mに及ぶとされています。
領域内では、呪力を帯びたもの(呪術師や呪霊など)には「捌」が、呪力を帯びていない無生物には「解」が絶え間なく浴びせられます。
領域に足を踏み入れた瞬間から無数の斬撃に晒され続けるため、実質的に「領域内にいる限り死に続ける」という恐ろしい空間が展開されるわけです。
さらに恐ろしいのは、伏魔御廚子と炎の術式「竈(カミノ)」を組み合わせた攻撃です。
領域展開中は多対一の縛りが解除されるため、無数の斬撃に加えて炎の猛攻が重なる、まさに地獄のような光景が生まれます。
領域展開時の手印は「閻魔天印」と呼ばれ、仏教における閻魔大王のモチーフと結びついています。
「伏魔」は仏教用語で魔を降伏させるという意味を持ち、宿儺の領域が持つ「絶対的な裁き」のイメージと重なる点は非常に興味深いといえるでしょう。
反転術式・十種影法術・呪具
宿儺の玉犬、影と同化させることで使役した1体の個体を複数体に増やす無法をやらかしててヤバい
十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)への理解度が高過ぎる pic.twitter.com/Qzolaiwz92— 神山☕ (@MandhelingG1) March 20, 2023
宿儺の能力は斬撃と炎の術式だけにとどまりません。
反転術式においても、宿儺は超一流の使い手です。
負のエネルギーである呪力を反転させて正のエネルギーに変換し、欠損した体を再生することが可能で、さらには他者の治癒まで行えるとされています。
反転術式による他者治療は作中でも極めて希少な技術であり、五条悟や家入硝子と並ぶ実力を持つことを示しています。
十種影法術は、本来伏黒恵の生得術式ですが、宿儺は伏黒の体を器として奪った後にこの術式を使用しました。
特筆すべきは、伏黒が調伏できなかった最強の式神「八握剣異戒神将魔虚羅」を、宿儺が己の力で調伏してみせたことです。
魔虚羅のあらゆる現象に適応する能力を逆手に取り、斬撃の術式で適応させた直後に炎の術式で仕留めるという、知略と力を兼ね備えた戦い方を見せました。
呪具としては、万(よろず)が作った特級呪具「神武解(かむとけ)」を使用しています。
また「飛天」と呼ばれる呪具も使用し、その戦闘手段の幅広さを見せつけました。
宿儺の正体と過去:忌み子として生まれた「呪いの王」
宿儺が「呪いの王」と呼ばれるに至った背景には、壮絶な過去があります。
千年以上前の平安時代、宿儺は人間の呪術師として生まれました。
しかしその出生は通常のものではありません。
宿儺はもともと双子として生を受けましたが、胎児の段階で片割れを取り込んでしまった「忌み子」でした。
その結果、4本の腕と4つの目、2つの口を持つ異形の姿で誕生したのです。
当然ながら周囲からは忌み嫌われ、人として扱われることなく育ったとされています。
この孤絶した幼少期が、後の宿儺の「己以外の一切を顧みない」という苛烈な人格形成に影響を与えたと推測されます。
成長した宿儺は、当時の呪術全盛期においても並ぶ者のいない圧倒的な力を手にしました。
呪術師たちが総出で挑んでも勝てなかったという逸話は、宿儺がいかに規格外の存在だったかを物語っています。
平安時代は現代よりも呪術が盛んだった時代とされており、その時代の呪術師たちが束になってもかなわなかったという事実は、宿儺の強さが時代を超えた「絶対的なもの」であることを示しています。
宿儺の死後、その力は20本の指に分割されて封印されました。
指一本一本が特級呪物に分類されるほどの呪力を宿しており、千年の時を経てもなお朽ちることなく存在し続けていました。
また、作中では虎杖悠仁との間に「大叔父と又甥」という血縁関係があることが明かされています。
虎杖が宿儺の指を飲み込んでも器として耐えられた理由の一つが、この魂的なつながりにあったとされています。
なお、「両面宿儺」という名前は、日本書紀に実際に登場する飛騨国の異形の存在に由来しています。
作中の宿儺は、この伝承をモチーフにしながらも独自の設定が加えられた存在といえるでしょう。
ストーリーでの活躍
※ここからは物語の核心に触れるネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
虎杖悠仁への受肉〜渋谷事変
物語は、主人公・虎杖悠仁が宿儺の指を飲み込んだことから動き始めます。
通常であれば宿儺に体を乗っ取られるはずですが、虎杖は驚くべきことにその肉体の主導権を維持し続けました。
宿儺は虎杖の体内に受肉した状態で物語に関わっていきますが、当初はほとんど表に出てきません。
しかし、少年院での戦いで伏黒恵の十種影法術を目の当たりにした宿儺は、伏黒に対して強い関心を抱きます。
この時点で宿儺の中には、後の計画の萌芽があったと考えられています。
宿儺の力が遺憾なく発揮されたのが、渋谷事変です。
漏瑚の働きによって指を取り込み、15本分の力を取り戻した宿儺は、圧倒的な戦闘力を披露しました。
特級呪霊・漏瑚を「捌」と「竈(フーガ)」で一瞬にして消滅させ、さらに伏魔御廚子を展開して半径約140mの建造物を更地に変えてしまいます。
このとき宿儺は魔虚羅とも交戦し、先述の「適応能力を逆手に取る」戦略で見事に討伐しました。
渋谷事変は、読者に宿儺の底知れない強さを改めて突きつけた転換点だったといえます。
特に印象的なのは、漏瑚に対する宿儺の態度です。
漏瑚は特級呪霊として相応の実力を持ちながら、宿儺にとっては「退屈しのぎ」にすら満たない存在でした。
漏瑚が最期に見せた涙と、それに対する宿儺の振る舞いは、「呪いの王」の残酷さと同時に、一瞬だけ垣間見える奇妙な人間性を示唆する場面として、多くの読者の記憶に残っています。
伏黒恵への受肉〜完全体復活
渋谷事変後、物語は「死滅回游」編へと進みます。
この編で宿儺は、かねてから目をつけていた伏黒恵の体を新たな器として奪い取るという衝撃的な行動に出ました。
伏黒の精神を沈め、その体を完全に掌握した宿儺は、残りの指と即身仏を取り込むことで、ついに千年ぶりの完全体への復活を果たします。
4本の腕と4つの目を持つ本来の異形の姿を取り戻した宿儺は、もはや何者にも止められない存在として呪術師たちの前に立ちはだかりました。
伏黒恵という「器」を選んだ理由は、十種影法術という術式への関心だけでなく、魔虚羅の適応能力を自身の戦略に組み込む狙いがあったとされています。
伏黒の体を奪うことで、宿儺は自身の術式に加えて十種影法術まで使いこなせるようになり、文字通り手がつけられない存在となりました。
この「伏黒恵への受肉」は物語全体を見渡しても最大級の衝撃展開であり、宿儺が虎杖の体内にいた頃からどれほど周到に計画を練っていたかが明かされる瞬間でもありました。
読者にとっては「まさかここまで先を読んでいたのか」という驚愕とともに、宿儺の知略の深さを改めて思い知らされる展開だったといえます。
五条悟との頂上決戦
完全体となった宿儺が迎えた最初の大戦が、現代最強の呪術師・五条悟との対決です。
千年の時を超えた「最強vs最強」の頂上決戦は、作中屈指の名勝負として多くの読者を魅了しました。
この戦いでは、互いの領域展開がぶつかり合い、術式反転や呪力出力の駆け引きが高次元で繰り広げられました。
五条悟の「無量空処」と宿儺の「伏魔御廚子」がせめぎ合う展開は、両者の実力が拮抗していることを如実に示していました。
宿儺は魔虚羅の適応能力を戦略的に活用し、五条悟の「無下限呪術」への対抗手段を段階的に構築していきました。
最終的に宿儺は、魔虚羅が適応した斬撃の性質を利用して五条悟に致命的な一撃を加えます。
この結果は呪術界に衝撃を与え、残された呪術師たちにとっては絶望的な状況をもたらしました。
最終決戦と宿儺の最期
五条悟との戦いを経た宿儺に対し、虎杖悠仁を中心とした呪術師たちが総力を結集して挑みます。
この最終決戦は、一対一の戦いではなく、複数の呪術師がリレー形式で宿儺と戦い続けるという消耗戦の様相を呈しました。
虎杖をはじめ、日車寛見、鹿紫雲一、秤金次といった面々が次々と宿儺に挑み、少しずつその力を削いでいきます。
決定的な転機となったのは、釘崎野薔薇の復帰でした。
芻霊呪法による共鳴の効果で宿儺の術式に干渉し、その隙を突いて虎杖が黒閃を叩き込みます。
この一撃が伏黒恵の魂と宿儺を引き剥がすきっかけとなり、宿儺はついにその力を失っていきました。
そして宿儺の最期は、力尽きて消滅するという静かなものでした。
しかし、死後の「魂の通り道」と思しき場所で、宿儺はかつて自らが倒した呪霊・真人と再会しています。
ここで宿儺が口にしたとされる「次があれば違う生き方を選んでもいいかもしれない」という趣旨の言葉は、千年にわたって孤独に君臨し続けた「呪いの王」の内面を垣間見せる、物語のなかでも屈指の名場面でした。
独自考察:「御廚子」は宿儺の本質そのもの
ここからは、筆者独自の考察をお届けします。
宿儺の術式「御廚子」について改めて整理すると、興味深い法則性が浮かび上がります。
- 御廚子 = 台所・厨房
- 解(かい) = 食材の下ごしらえ
- 捌(はち) = 魚をさばく工程
- 竈(カミノ) = かまどで火を通す工程
- 開(フーガ) = 窯から出す=仕上げ
つまり、宿儺の術式体系は「食材を下処理し、さばき、火を通して仕上げる」という調理の一連の流れを再現しているのです。
そして領域展開の名前も「伏魔御廚子」であり、領域そのものが巨大な「厨房」として機能しています。
この「調理」のモチーフは、宿儺の設定全体に通底しています。
宿儺の嗜好は「食べること」と明言されています。
平安時代には人肉を食していたことも示唆されており、さらに遡れば、胎児の段階で双子の片割れを「食べて」取り込んだことが、宿儺という異形の存在の始まりでした。
ここから見えてくるのは、宿儺という存在全体が「捕食」のメタファーとして設計されているということです。
術式は調理工程、領域は厨房、嗜好は食事、誕生の経緯は片割れの捕食。
あらゆる側面が「食べる」という行為と結びついています。
では、なぜ宿儺にとって「食べる」ことがこれほどまでに本質的なのでしょうか。
筆者は、それが孤独な忌み子が世界と関わるための唯一の手段だったのではないかと考えます。
人として受け入れられず、言葉でつながることも、愛情を交わすこともできなかった宿儺にとって、「食べる」という行為だけが、外界を自分の内側に取り込む、つまり世界とつながる方法だったのかもしれません。
それは極めて原始的で、一方的で、破壊的なつながり方です。
しかし、それしか知らなかった存在にとっては、それが世界との唯一の接点だったのです。
術式が調理モチーフである理由は、宿儺の生き方そのものが「捕食」に集約されるからだと筆者は考えています。
独自考察:宿儺と五条悟、「最強の孤独」の対比
もう一つ、宿儺を深く理解するうえで重要な視点があります。
それは、五条悟との対比です。
宿儺と五条悟は、作中において「最強」という共通の属性を持つ2人です。
しかし、その最強ゆえの孤独に対する向き合い方は、まさに正反対でした。
五条悟は、強すぎるがゆえに周囲と隔絶した孤独を抱えながらも、教育者として次世代の呪術師を育てる道を選びました。
自分と同じ「最強の孤独」を背負わせないために、弟子たちを導き、呪術界を変革しようとしたのです。
五条の孤独は「与える」ことで昇華されました。
一方、宿儺は、強すぎるがゆえの孤独を「蹂躙」によって埋めようとしました。
他者を圧倒し、破壊し、食らうことで、自分と世界の間にある断絶を暴力的に埋めたのです。
宿儺の孤独は「奪う」ことでしか発散されませんでした。
同じ「最強の孤独」を抱えながら、五条が「つなげる者」となり、宿儺が「断つ者」となった。
この対比こそが、作中で2人が宿命的に対峙した意味ではないでしょうか。
そして、宿儺が最期に語った「次があれば違う生き方を選んでもいいかもしれない」という趣旨の言葉。
これは、宿儺がその生涯を通じて見ることのなかった「もう一つの道」
五条悟が歩んだような、孤独を「つなげる力」に変える道の存在を、死の間際にようやく認識したことを示しているのではないでしょうか。
千年の王が最期に垣間見た「別の道」は、宿儺にとっての救済ではなく、むしろ取り返しのつかない喪失の自覚だったのかもしれません。
だからこそ、この場面は多くの読者の胸を打つものとなったのだと、筆者は考えています。
まとめ
両面宿儺は、『呪術廻戦』という作品を語るうえで避けて通れない、最も重要なキャラクターの一人です。
千年以上前に忌み子として生まれ、圧倒的な力で「呪いの王」として君臨した宿儺。
その術式「御廚子」は不可視の斬撃と炎という凶悪な能力を備え、領域展開「伏魔御廚子」は結界を閉じないという異例の方式でありながら作中最強クラスの威力を誇りました。
ストーリーにおいては、虎杖悠仁への受肉に始まり、渋谷事変での暴虐、伏黒恵への受肉と完全体復活、五条悟との頂上決戦、そして最終決戦での消滅と、物語の根幹を担い続けました。
しかし宿儺の真の魅力は、その圧倒的な強さの裏側にある「孤独」にあるのではないでしょうか。
忌み子として生まれ、誰にも受け入れられず、「食べる」ことでしか世界とつながれなかった存在。
術式も、嗜好も、生き方のすべてが「捕食」に収斂していく設計は、芥見下々先生のキャラクター造形の巧みさを物語っています。
そして完結した今だからこそ、宿儺の生涯を俯瞰して見ると、そこには「最強であるがゆえにたどり着けなかった場所」があったのだと気づかされます。
最期に語った「違う生き方」への言及は、千年の王が初めて見せた人間としての一面だったのかもしれません。
『呪術廻戦』を読み返す際は、ぜひ宿儺の言動一つひとつに込められた意味を、改めて味わってみてください。
きっと、初読では気づけなかった「呪いの王」の深みが見えてくるはずです。
