「ラスボスよりラスボスっぽい」
ファンからそう評されるキャラクターがいます。
アメストリス軍大総統にして、作中最強クラスの戦闘力を誇るキング・ブラッドレイです。
好々爺のような穏やかな表情の裏に、冷酷な独裁者の顔を隠し持つこの男の正体は、7番目のホムンクルス「ラース(憤怒)」。
人間をベースに作られた異例の存在であり、その複雑な人物像は多くの読者を魅了してきました。
この記事では、キング・ブラッドレイの正体から能力、名言、そして壮絶な最期まで徹底的に解説していきます。
※この記事には『鋼の錬金術師』の重大なネタバレが含まれます。
キング・ブラッドレイのプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | キング・ブラッドレイ |
| 正体 | ラース(憤怒のホムンクルス) |
| 声優 | 柴田秀勝 |
| 年齢 | 60歳 |
| 身長 | 175cm |
| 役職 | アメストリス軍大総統 |
| 家族 | 妻:ブラッドレイ夫人、養子:セリム |
| 特徴 | 左目の眼帯、黒髪のオールバック、口髭 |
キング・ブラッドレイは、アメストリス軍の最高責任者にして、国政の実質的な決定権を持つ事実上の国家元首です。
44歳という若さで大総統の座に就き、領土拡張と軍事強化を推し進めてきました。
左目には常に眼帯をつけており、これは戦場で負った傷を隠すためとされていましたが、その真の理由は後に明らかになります。
人物像・性格
二つの顔
ブラッドレイの性格は、「好々爺」と「冷酷な独裁者」という二つの顔で構成されています。
表向きは穏やかで人当たりの良い人物として振る舞い、エドワードが入院した際にはメロンを持って見舞いに訪れたり、アロハシャツ姿で現れたりと、大総統らしからぬ奇行を見せることも。
しかし、その本質は容赦のない独裁者です。
イシュヴァール殲滅戦では民間人と兵士を区別なく殲滅するよう命じ、降伏しようとした宗教指導者の助命嘆願も冷然と拒絶しました。
人間への複雑な感情
興味深いのは、ブラッドレイが他のホムンクルスのように人間を完全に軽視していない点です。
エドワードやマスタングが思い通りにならないことを「腹が立つ」と言いながらも、どこか楽しんでいる節があります。
人間の弱さを軽蔑しながらも、その強さと成長には期待を抱いている。
そんな矛盾した感情が、彼の人物像に深みを与えています。
妻への深い愛情
冷酷な独裁者であるブラッドレイですが、妻に対しては深い愛情を示しています。
作中で「あれは私が選んだ女だ」と語る場面があり、与えられた人生の中で唯一自らの意思で選んだのが妻との結婚だったことが明かされます。
この設定が、彼を単なる悪役ではなく、複雑な人間性を持つキャラクターとして際立たせています。
正体と過去
大総統候補生としての日々
ブラッドレイには、本来の名前も親の記憶もありません。
幼少期から「大総統候補生」として隔離された環境で育てられ、過酷な訓練を受け続けました。
他の候補生たちと共に、来るべき日のために鍛え上げられていったのです。
ホムンクルスの誕生
青年期、ブラッドレイは「お父様」の計画により、賢者の石を血管に注入される実験を受けます。
他の候補者たちは拒絶反応で次々と死亡していく中、彼だけがその苦痛に耐え抜きました。
複数の人間の精神との争いに勝利し、7番目のホムンクルス「ラース(憤怒)」として生まれ変わったのです。
この時、「キング・ブラッドレイ」という名前を与えられました。
他のホムンクルスとの違い
ブラッドレイは、他のホムンクルスとは決定的に異なる特徴を持っています。
人間をベースに作られたため、魂が一つしか存在せず、再生能力を持ちません。
また、普通の人間のように老化します。自分を構成する魂が、元々の自分のものなのか、注入された賢者の石の誰かのものなのかは、本人にも分からないとされています。
この「自分が何者か分からない」という存在の曖昧さが、ブラッドレイというキャラクターの悲哀を象徴しています。
能力・戦闘スタイル
最強の眼
ブラッドレイの最大の武器は、「最強の眼」と呼ばれる超人的な動体視力です。
眼帯の下に隠された左目にはウロボロスの紋章が刻まれており、この眼であらゆる動きを見切ることができます。
銃弾の軌道すら認識し、回避することが可能。瓦礫の中から瞬時に逃げ道を判断するなど、その能力は人間離れしています。
圧倒的な戦闘力
『鋼の錬金術師』キャラ強さランキングでも上位に位置するブラッドレイの戦闘力は、作中でも屈指です。
サーベルを用いた高速近接戦闘を得意とし、二刀流での戦いも可能。
40年近い戦場経験と日々の鍛錬により、最強の眼の能力を最大限に引き出しています。
グリードの「最強の盾」をも貫く攻撃力、複数の敵を同時に相手取っても圧倒する技量。
軽装でありながら戦車を単独で破壊するという、常識を超えた戦闘能力を発揮しました。
弱点
しかし、ブラッドレイには明確な弱点があります。
再生能力を持たないため、一度負った傷は回復しません。
また、年齢による衰えも避けられず、60歳という年齢は戦闘において不利に働きます。
最強の眼も、強い光には弱いという欠点がありました。
重要エピソード
エドワードとの初対面
国家錬金術師試験を見学していたブラッドレイは、エドワードが槍を錬成して突きかかってきた際、微動だにしませんでした。
去り際、目にも止まらぬ速さで剣を抜き、エドワードの槍を一撃で両断。
この場面で、彼の圧倒的な実力が初めて示唆されました。
グリード戦での正体露見
ハガレン、強欲のグリード
悪役というか己の欲望に正直で最後はなんとなくエレン側についてましたね pic.twitter.com/mnSmFlNVcM
— KのT (@tkadhigo) March 30, 2024
ダブリスでグリードの一味に捕えられたアルフォンスを救出するため、ブラッドレイは軍を率いて突入します。
容赦なく敵兵を斬り倒し、グリードの腕を切り飛ばす圧倒的な強さ。
戦闘中に眼帯が外れ、左目の「ウロボロスの紋章」が露見したことで、彼がホムンクルスであるという衝撃の事実が明かされました。
イシュヴァール殲滅戦
大総統として、ブラッドレイはイシュヴァール殲滅戦を指揮しました。
民族全体の根絶やしを命じ、7年間続いた内乱を終結させます。
この戦争は「お父様」の国土錬成陣計画の一部であり、ブラッドレイはその駒として動いていました。
正門での戦い
「約束の日」、大総統府を襲撃するブリッグズ兵たちの前に、ブラッドレイは単身で立ちはだかります。
列車爆破で橋ごと落とされても生還し、軽装のまま多数の兵士を圧倒。
満身創痍になりながらも戦い続けるその姿は、彼が「最強」と呼ばれる理由を見せつけるものでした。
名言・名セリフ
「自惚れもたいがいにせよ人間。一人の命はその者一人分の価値しか無く、それ以上にもそれ以下にもならん」
人間の命に対するブラッドレイの冷徹な価値観を表した言葉。
しかし、この言葉には「一人分の価値はある」という意味も含まれており、完全な否定ではない点が興味深いです。
「なめるなよ。あれは私が選んだ女だ」
デーモン「なめるなよ
あれは私が選んだテイマーだ
私とあれの間に余計な遺言など要らぬ
魔王たる者のパートナーとはそういうものだ」同じ『憤怒』を冠する者として、デーモンの最期にハガレンのラースの台詞を言ってもらいたい。 pic.twitter.com/EolAULJT5u
— いぬなぎ(紙しばきおじさん) (@nagi330613) June 16, 2024
妻について語った言葉。
与えられた人生の中で唯一自分で選んだ存在への深い愛情が込められています。
「私の城に入るのに裏口から入らねばならぬ理由があるのかね?」
#ガチでかっこいいと思った悪役を挙げろ
いかん、ハガレンのブラッドレイすっかり忘れとったわ(ーー;) pic.twitter.com/dAqtR32xGF— てらびさんΧ【SS丁R 来年も出られるようにがんばろ〜】 (@terabeat) July 3, 2024
「約束の日」に正門から堂々と突入する際の台詞。
大総統としての威厳と、戦闘への自信が表れています。
「やりごたえのある、よい『人生』であった」
ハガレンのブラッドレイ大総統
一貫して強者感ブレないまま、味方陣営の近接戦最強格を束にした上で死傷者複数と言う劇中最大級の死闘と言う最期
成り立ち故この台詞だが最終段階の計画を止めに来た強者達に強さを振るう様や、妻への思いだったり、やり切った死に様は忘れられない#好きな死亡シーン pic.twitter.com/aI3ssSI0fk— トリスタ(hase) (@TRICK_STaR_) July 15, 2023
最期に残した言葉。
敷かれたレールの上を歩いた人生でも、人間たちとの関わりの中で「やりごたえ」を感じていたことが伺えます。
妻との関係
強いの基準は人それぞれですけど、力の誇示よりも芯の強い人の方が強いイメージがありますね。
なので、ハガレンで一番強いと思うブラッドレイ夫人置いておきますね。 pic.twitter.com/mrF8jjqi4n
— B鰤夫 (@bibliomagic) February 5, 2025
唯一の選択
ブラッドレイの人生において、自らの意思で選んだものは妻だけでした。
名前も、立場も、人生の道筋も、すべてが与えられたもの。
その中で唯一、結婚相手だけは自分で選ぶことを許されました。
初デートの失敗
妻との出会いには、ユーモラスなエピソードがあります。
恋愛に疎いブラッドレイは、他のホムンクルスに相談。
エンヴィーから「外見を褒めろ」というアドバイスを受け、初デートで夫人の尻を褒めてしまい、ビンタを食らったとされています。
最強の眼を持つブラッドレイも、妻のビンタだけは見切れなかった。
という逸話は、ファンの間で愛されるエピソードとなっています。
遺言は不要
最期の時、ブラッドレイは妻への遺言を残しませんでした。
「私とあれの間に遺言など要らぬ」
言葉にしなくても通じ合える、そんな深い絆で結ばれていたことが示唆されています。
壮絶な最期
スカーとの決戦
最終決戦において、ブラッドレイはスカー(傷の男)と対峙します。
満身創痍の状態でありながら、圧倒的な剣技でスカーを追い詰めていきます。
しかし、日食が終わり太陽光が差し込んだ瞬間、最強の眼が光に眩み、一瞬の隙が生まれました。
その隙を突かれ、両腕を破壊されながらも、ブラッドレイは最後まで戦い続けました。
人間としての死
致命傷を負ったブラッドレイは、急速に老化しながら息を引き取ります。
他のホムンクルスと異なり、彼には死体が残りました。
人間をベースに作られた存在として、最期は人間らしく—それが彼の運命だったのかもしれません。
秘匿された真実
ブラッドレイの死後、彼がホムンクルスであったという事実は秘匿されました。
公式には、軍上層部の暴走に巻き込まれて殉職したとされています。
独自考察・魅力ポイント
「選べなかった人生」と「選んだ妻」
ブラッドレイの人生は、「与えられたもの」と「選んだもの」の対比で描かれています。
名前も、能力も、立場も、すべてが他者から与えられたもの。
その中で唯一、妻だけは自分で選びました。
この対比構造が、彼の人物像に奥行きを与えています。
与えられた役割を全うしながらも、その中で自分だけの「選択」を見出した
そこに、ブラッドレイの生き様があります。
「怒り」を司る者として
ラース(憤怒)という名を持つブラッドレイですが、作中で激昂する場面は多くありません。
しかし、彼の内面には常に「怒り」が燃えていたのかもしれません。
選べなかった人生への怒り、敷かれたレールへの怒り。
その怒りを押し殺しながら、与えられた役割を演じ続けた60年間。
最期の言葉「よい人生であった」は、その怒りを超えて、人生を肯定できるようになった証なのかもしれません。
原作と2003年版アニメの違い
原作およびFULLMETAL ALCHEMISTでは「ラース(憤怒)」ですが、2003年版アニメではブラッドレイの正体は「プライド(傲慢)」として設定されています。
これは原作の連載が途中だった時期にアニメ化されたため、オリジナルの展開となったものです。
両方を見る際は、この設定の違いに注意が必要です。
まとめ
キング・ブラッドレイは、『鋼の錬金術師』において最も複雑で魅力的な敵役の一人です。
最強の戦闘力を持ちながら、再生能力を持たない脆さ。
冷酷な独裁者でありながら、妻への深い愛情を持つ人間性。与えられた人生を生きながら、その中で「選択」を見出した生き様。
これらの矛盾と複雑さが、彼を単なる悪役ではなく、記憶に残るキャラクターへと昇華させています。
「ラスボスよりラスボスっぽい」と評される所以は、その圧倒的な強さだけでなく、この深い人物造形にあるのでしょう。
