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呪術廻戦

【呪術廻戦】ミゲル・オドゥオールの強さと正体!百鬼夜行MVPの全てを解説

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『呪術廻戦0巻』で初登場し、最強の呪術師・五条悟を10分以上足止めした男、ミゲル・オドゥオール

作者・芥見下々から「百鬼夜行のMVP」と明言され、ファンブックでは強さの説明がただ一言「強い。
」とだけ記されたこの海外呪術師は、登場回数こそ限られるものの、物語の重要な転換点に必ず姿を現す存在です。

母国の術師が数十年かけて編み上げた呪具「黒縄」、スワヒリ語で「呪いは存在しない」を意味する術式「祈祷の歌(ハクナ・ラーナ)」、そして百鬼夜行から人外魔境新宿決戦に至るまでの戦歴。
この記事では、ミゲルのプロフィール・人物像・能力・戦績を網羅的に解説し、さらに「術式名が語るキャラクターの本質」を独自の視点から考察します。

※この記事には『呪術廻戦』全編のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。

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ミゲルのプロフィール

項目 内容
名前(読み方) ミゲル・オドゥオール
声優 山寺宏一
出身 ケニア(アフリカ)
所属 元・夏油一派 → 高専側に協力
初登場 呪術廻戦0巻(東京都立呪術高等専門学校)
本名判明 本編 第255話
特徴 ベレー帽・サングラス、片言の日本語

ミゲルは、アフリカ・ケニア出身の海外呪術師です。
ベレー帽にサングラスという独特な出で立ちが印象的で、片言ながらも日本語を操ります。
0巻の時点では「ミゲル」という名前のみが判明しており、フルネーム「ミゲル・オドゥオール」が明かされたのは本編第255話のことでした。

呪術廻戦の強さランキングでも上位に名を連ねる実力者であり、作者・芥見下々からは「百鬼夜行のMVP」と称されています。
ファンブックでのミゲルの強さに関する記載は「強い。
」の一言のみ。
短いながらも、その一言がかえってミゲルの底知れない実力を物語っています。

声優を担当するのは山寺宏一さん。
『新世紀エヴァンゲリオン』の加持リョウジ役や『カウボーイビバップ』のスパイク・スピーゲル役など、数々の名キャラクターを演じてきたベテラン声優です。
ミゲルの飄々とした雰囲気と芯の通った存在感を、山寺さんの演技が見事に体現しています。
劇場版『呪術廻戦 0』では、五条との戦闘シーンにおけるミゲルの迫力ある声が話題となりました。

 

人物像・性格:夏油に惹かれた忠義の男

夏油傑のカリスマに魅せられて

ミゲルが日本にやってきた理由は、夏油傑という一人の呪術師に魅せられたからです。

夏油は「呪術師のための世界を作る」という理想を掲げ、非術師を排除する思想を持っていました。
しかし興味深いことに、ミゲル自身は夏油の思想そのものに深く共鳴していたわけではないとされています。
ミゲルが惹かれたのは、夏油傑という人物そのもの、そのカリスマ性と人間的な魅力でした。

ミゲルはラルゥと共に、夏油を「王にしたい」と語り合う間柄でした。
この三人の関係は、いわば「擬似家族」のようなものだったといえます。
夏油を中心に据えた、血縁ではなく信念で結ばれた絆。
ミゲルにとって夏油一派での日々は、母国を離れてなお居場所と呼べるものだったのでしょう。

 

片言の日本語とユーモア

ミゲルの個性を際立たせているのが、片言の日本語です。
百鬼夜行に際して発した「死ンダラ祟ルゾ!!」という台詞は、片言のカタカナ交じりながらも気迫に満ちた名言として読者の記憶に残っています。

言葉の壁がある中で、ユーモアと気骨を同時に見せるこの言動は、ミゲルが単なる「強い外国人キャラクター」にとどまらない人間味を持っていることを示しています。
五条に対する態度も、畏怖と反発が入り混じった複雑なもので、ただ従順に従うのではなく、自分の意思をしっかり持った人物であることが伝わってきます。

 

人間関係の変遷:仕える相手が映す成長

ミゲルの人間関係は、物語の進行とともに大きく変化していきます。

最初は夏油傑への忠義。
百鬼夜行ではその忠義のために五条と命がけで戦いました。
しかし夏油が敗れた後、ミゲルは五条悟に半ば強制的に協力させられる立場となります。
五条からは「トラウマ級の体験」を盾に取られ、乙骨憂太の指導役を押し付けられたとされています。
ミゲルにとって五条は、恐怖と苛立ちの対象だったことでしょう。

そして物語終盤で結ばれたのが、乙骨憂太との信頼関係です。
アフリカでの共同生活を経て、ミゲルは乙骨を「素直」と評し、かつての「強制された関係」は「自ら選んだ仲間」への関係に変わっていきました。

夏油(忠義)→ 五条(強制)→ 乙骨(信頼)。
この変遷は、ミゲルが「誰かに仕える」のではなく「誰かのために戦う」人物へと成長していった証だと筆者は考えます。

 

黒縄:五条の無下限呪術すら狂わせた呪具

黒縄とは何か

黒縄(こくじょう)は、ミゲルの母国であるケニアの術師が数十年という歳月をかけて編み上げたとされる極めて希少な呪具です。
特級呪具に相当する性能を持つとされ、その最大の特徴は「触れた術式の効果を乱し、発動を妨害する」という能力にあります。

作中最強とされる五条悟の「無下限呪術」。
触れようとするものと対象との間に無限を生み出す絶対的な防御。
この術式すら、黒縄は「乱す」ことに成功しました。
つまり黒縄は、作中において五条の無限防御を物理的に揺るがした数少ない手段の一つなのです。

 

百鬼夜行での使用と消失

百鬼夜行において、ミゲルは黒縄を駆使して五条と渡り合いました。
しかし、術式妨害を行うたびに黒縄は消耗し、縄は徐々に短くなっていきました。
五条の術式があまりに強力であったため、消耗速度は想定以上だったとみられます。

結果として、百鬼夜行で黒縄は全て消費されてしまいました。
数十年かけて編まれた貴重な呪具が、たった一度の戦闘で失われたのです。
この「一度きりの武器」という設定は、百鬼夜行がいかに壮絶な戦いであったかを物語ると同時に、ミゲルの覚悟の深さも表現しています。

 

弱体化ではなく、転換点としての黒縄消失

一般的に、黒縄を失ったことはミゲルの「弱体化」と捉えられがちです。
五条の無下限呪術を乱すことができた唯一の武器を失ったのですから、その見方は自然でしょう。

しかし筆者は、黒縄の消失はミゲルの「真の力」への転換点だったと考えます。

黒縄を持つミゲルは、いわば「借り物の力」に依存した状態でした。
母国の術師たちが生み出した武器に頼ることで五条と戦えていたのです。
しかし黒縄を失った後、ミゲルは自らの術式「祈祷の歌」と純粋な身体能力だけで最終決戦に臨むことになります。

そして実際に、黒縄なしのミゲルは宿儺相手にも互角以上の立ち回りを見せました。
借り物の力を捨てた先にこそ、ミゲル本来の実力があった。
黒縄の消失は、ミゲルが「道具に頼る戦士」から「己の力で戦う術師」へと覚醒するための必然だったのではないでしょうか。

 

アフリカでの黒縄探索

百鬼夜行の後、五条の指示により、ミゲルは乙骨憂太と共にアフリカへ渡り、黒縄の残りや新たな黒縄を探す任務に就きました。
五条にとって、無下限呪術を乱せる黒縄は自身への対抗手段にもなり得る危険な存在。
その探索をミゲルに任せたのは、黒縄を管理下に置きたいという意図もあったと推測されます。

この探索任務は表向きの目的に過ぎず、実態としては乙骨の海外修行という側面も大きかったようです。
結果的にこのアフリカでの時間が、ミゲルと乙骨の信頼関係を築く土台となりました。

 

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術式「祈祷の歌(ハクナ・ラーナ)」:呪いを否定する術式

術式の概要と効果

ミゲルの術式「祈祷の歌(ハクナ・ラーナ)」は、スワヒリ語で「呪いは存在しない」を意味します。
呪術師でありながら「呪いを否定する」という、逆説的な名前を持つ術式です。

その効果は大きく二つに分けられます。

一つ目は、自身の身体能力の強化(バフ効果)です。
ミゲルが肉体でビート(リズム)を刻むことで発動し、呪力による身体強化を飛躍的に高めます。
もともと恵まれた体格を持つミゲルがこの術式を使うことで、五条悟が「点の動き(足を止めた状態での打ち合い)なら自分が負ける可能性がある」と評するほどの身体能力を発揮します。

二つ目は、相手の術式効果と呪力を弱体化させる(デバフ効果)です。
祈祷の歌が発動している間、対峙する相手の術式効力と攻撃力が低下します。
これは「呪いを退ける」という術式の本質から来る効果であり、いわば常時発動型の簡易領域のような性質を持っています。

 

ダンスのような戦闘スタイル

祈祷の歌の発動には「肉体でビートを刻む」という独特の条件があり、ミゲルの戦闘はまるでダンスのような動きが特徴的です。
新宿決戦ではブレイクダンスを思わせる軽やかな身のこなしで宿儺の攻撃をかわす姿が描かれました。

この「リズム・ビート」に基づく術式体系は、日本の呪術が「印」や「詠唱」を軸にしているのとは根本的に異なります。
呪術廻戦の世界において、日本以外の呪術文化がどのようなものかを示す貴重な事例であり、作品の世界観に大きな広がりを与えています。

アフリカには古来より、太鼓のリズムやダンスを通じて精霊と交信し、邪悪なものを祓う文化が存在します。
ミゲルの術式がリズムとビートに根ざしていることは、そうした文化的背景を反映しているようにも読み取れます。
呪術廻戦の作中では明言されていませんが、日本の呪術が陰陽道や仏教の影響を受けているように、ミゲルの術式にもアフリカの精神文化が息づいていると考えるのは自然なことでしょう。

 

五条悟からの評価:「怖いのはミゲル自身の肉体」

五条悟はミゲルの戦闘力について、「術式は便利だが怖くない。怖いのはミゲル自身の肉体だ」と述べています。
さらに「術式なし、呪力強化ありの身体能力で競ったら、線の動きなら勝てるけど、点の動きなら多分負ける」と分析しました。

これは極めて重要な評価です。
「点の動き」とは、足を止めた状態での純粋な打撃力や反応速度の勝負を意味します。
作中最強の呪術師がこの分野でミゲルに負ける可能性を認めたということは、ミゲルの肉体的ポテンシャルがいかに規格外であるかを示しています。

一方で「線の動き」、連続的な動きや術式を交えた総合力では五条に軍配が上がるとされています。
この分析からも分かるように、ミゲルの強さは「瞬間的な爆発力」に特化した、一撃必殺型の性質を持っています。

 

百鬼夜行:五条悟を10分以上足止めした激闘

※このセクションには百鬼夜行のネタバレが含まれます。

百鬼夜行とミゲルの役割

百鬼夜行とは、夏油傑が呪霊の大群を率いて高専を襲撃した事件です。
この計画の最大の障壁は、言うまでもなく五条悟の存在でした。

五条が戦場に到着すれば、夏油の計画は瞬時に瓦解する。
そこで夏油がこの最重要任務、五条の足止めを任せたのが、ミゲルでした。
呪術界最強の男を相手に時間を稼ぐという、無謀とも言えるこの役割を、ミゲルは見事にやり遂げます。

 

黒縄を駆使した激闘

戦闘開始の時点で、五条はミゲルの実力を一目で見抜いていました。
「自分以外が相手をすれば蹴散らされる」と判断したことから、ミゲルが只者ではないことが分かります。

ミゲルは黒縄を巧みに操り、五条の無下限呪術を乱しながら戦いを展開しました。
とはいえ、五条の圧倒的な力を前にして、与えられたダメージは「かすり傷がやっと」という程度だったとされています。
五条の反撃はすさまじく、ミゲルが「水切りの石のごとくビルからビルへと吹き飛ばされる」場面も描かれています。

しかし、ミゲルの目的は五条を倒すことではなく、「時間を稼ぐこと」でした。
五条の猛攻を受けながらも、ミゲルは必死に耐え凌ぎます。
黒縄は戦闘の中で急速に消耗していき、指定時間の10分前にはすでに半分以上が失われていたとされています。

 

「百鬼夜行のMVP」:作者が認めた功績

結果として、ミゲルは指定された時間まで五条を足止めすることに成功しました。
五条の本気の攻撃を受け続けながら、五体満足で目標を達成した唯一の人物です。

この功績について、作者の芥見下々は「百鬼夜行のMVPはミゲル」と明言しています。
五条や乙骨、夏油といった主要人物を差し置いてのこの評価は、ミゲルがあの戦いにおいて果たした役割の重大さを物語っています。

五条から「面倒臭そうな奴」「しぶといな」と評されたことも、裏を返せば五条がミゲルを一筋縄ではいかない相手と認めたことの証です。
五条が特級呪霊ですら一撃で仕留める実力を持っていることを考えれば、ミゲルの粘り強さがいかに異常であるかが理解できるでしょう。

 

百鬼夜行後:五条による捕縛と「取引」

百鬼夜行が終結し、夏油が敗北した後、ミゲルは五条に捕縛されました。
五条はミゲルに対して半ば脅迫に近い形で「取引」を持ちかけ、自らの教え子・乙骨憂太の面倒を見ることを条件に自由を与えたとされています。

ミゲルにとって五条は「トラウマ級の体験」を与えた相手であり、好意的な感情はなかったでしょう。
後のエピソードで五条と再会した際には「どうしてお前がここにいる」と露骨に嫌悪感を示す場面もあり、二人の関係が決して友好的なものではなかったことが分かります。

 

アフリカ編と最終決戦:乙骨との絆と宿儺戦への参戦

※このセクションには本編終盤の重大なネタバレが含まれます。

アフリカでの日々:乙骨憂太との出会い

五条に押し付けられる形で始まった乙骨との関係は、当初ミゲルにとって不本意なものだったはずです。
しかしアフリカ・ケニアでの共同生活を経る中で、二人の間には次第に信頼関係が芽生えていきます。

ミゲルは乙骨を「素直」と評しています。
夏油や五条といった癖の強い人物と関わってきたミゲルにとって、乙骨の素直さは新鮮に映ったのかもしれません。
アフリカでの活動は表向き「黒縄の探索」でしたが、実質的には乙骨の海外修行としての意味合いが大きかったとされています。

乙骨の基礎的な体術や身体能力の向上に、ミゲルが一定の影響を与えたとも考えられます。
もともと呪力量では規格外でありながら近接戦闘に課題があった乙骨にとって、フィジカルの鬼であるミゲルとの修行は大きな糧となったことでしょう。

 

人外魔境新宿決戦への参戦

物語終盤、両面宿儺との最終決戦「人外魔境新宿決戦」に際し、ミゲルはラルゥと共に戦場に姿を現しました(第255話)。

ここで注目すべきは、ミゲルが参戦するための条件として「宿儺が領域展開を使用不可能な状態であること」を挙げていた点です。
宿儺の領域展開「伏魔御厨子」は、範囲内の全てを斬撃で切り刻む必殺の技。
この条件を設定したことは、ミゲルの聡明さ、自らの戦力を冷静に分析し、勝ち目のある状況を見極める知性の高さを示しています。

 

宿儺戦での活躍:「祈祷の歌」の真価

新宿決戦において、ミゲルはついに「祈祷の歌(ハクナ・ラーナ)」をフルに発揮して戦いました。
黒縄なき今、ミゲルの武器は己の肉体と術式のみです。

その戦いぶりは圧巻でした。
ブレイクダンスのような軽やかな動きで宿儺の攻撃をかわし、かつて五条悟ですら避けられなかった宿儺の斬撃を回避したとされる場面もありました。
祈祷の歌による身体強化と術式弱体化の効果を最大限に活かし、宿儺に肉弾戦で対抗する姿は、読者に大きな衝撃を与えました。

ミゲルの活躍は仲間たちにも影響を与えています。
虎杖悠仁や禪院真希が宿儺に攻撃を仕掛けるための隙を生み出す役割を担い、チーム戦における重要なピースとして機能しました。
真希が「あいつらがはじめからいたら話は変わったろ」と述べたことは、ミゲルとラルゥの戦力がいかに大きかったかを物語っています。

 

宿儺からの評価

呪いの王・宿儺がミゲルに対して「見どころがある」と評したことも特筆すべき点です。
宿儺は千年以上の時を生きた最強の呪術師であり、他者を認めることはほとんどありません。
その宿儺がミゲルの実力を認めたということは、五条に続いて二人目の「最強」からの称賛を得たことを意味します。

五条悟と両面宿儺。
作中の二大最強がともに認めた戦士は、作中を見渡してもごく限られた人物だけです。
ミゲルがそのリストに名を連ねている事実は、彼の実力の高さを何よりも雄弁に証明しています。

 

独自考察:「呪いは存在しない」:術式名が語るミゲルの本質

呪いを否定する呪術師という矛盾

ミゲルの術式「祈祷の歌(ハクナ・ラーナ)」は、スワヒリ語で「呪いは存在しない」を意味します。
ここには一つの根本的な矛盾があります。
呪術師でありながら、その術式で「呪いの存在」を否定しているのです。

呪術廻戦の世界では、呪術師は呪いの力を利用して戦います。
呪力を操り、呪いの論理に従って術式を行使する。
いわば「呪いの体系の中で生きる」のが呪術師という存在です。
しかしミゲルの術式は、その前提そのものを覆します。
呪いを利用するのではなく、呪いを「退ける」ことで力を得る。
体系の内側からではなく、外側から呪いに抗う。

これは単なる術式の効果にとどまらず、ミゲルという人物の生き方そのものを反映していると筆者は考えます。

 

呪いに縛られない自由な精神

思えば、ミゲルは作中で「呪い」に縛られていない稀有な人物です。

夏油一派に所属しながらも、非術師への憎悪という「呪い」には染まらなかった。
五条に捕縛されても、恨みの「呪い」に囚われず新たな道を歩んだ。
母国を離れて異国で戦いながらも、郷愁という「呪い」に引きずられることなく自分の信じる道を選び続けた。

呪術廻戦という作品において、多くのキャラクターは何かしらの「呪い」に縛られています。
五条悟は最強であることの孤独に、夏油傑は理想と現実の乖離に、虎杖悠仁は宿儺の器としての宿命に。
しかしミゲルは、そうした「呪い」から比較的自由な存在として描かれているように見えます。

術式名「呪いは存在しない」は、ミゲルのそうした精神性を最も端的に表現した言葉なのではないでしょうか。

 

黒縄から祈祷の歌へ:「借り物の力」から「自分の力」への覚醒

ミゲルの戦いの歴史を振り返ると、そこには明確な成長の軌跡が見えてきます。

百鬼夜行では、母国の術師たちが編み上げた「黒縄」に大きく依存していました。
黒縄がなければ五条の無下限呪術に対抗する手段がなく、足止めという目的も達成困難だったでしょう。
この時期のミゲルの力は、ある意味で「借り物」でした。

しかし黒縄が全て消耗した後、ミゲルは自らの術式「祈祷の歌」と純粋な肉体だけで最終決戦に挑みます。
そしてその結果は――宿儺からの称賛、五条をも驚かせた身体能力の発揮、そしてほぼ無傷での生還。
黒縄に頼っていた頃以上の活躍を見せたのです。

この「黒縄(借り物の力)→ 祈祷の歌(自分の力)」という転換は、ミゲルの成長を象徴する構図です。
他者が作り上げた武器ではなく、自らの肉体と術式で戦い、最強の敵に認められる。
ミゲルの物語は、「真の強さとは何か」という問いに対する一つの答えを提示しているように思えます。

 

仕える相手の変遷に見る精神的成長

前述した「夏油→五条→乙骨」という人間関係の変遷にも、ミゲルの精神的成長が現れています。

夏油への忠義は純粋なものでしたが、「王に仕える」という構図にはどこか受動的な側面がありました。
五条との関係は強制によるもので、主体性は皆無でした。
しかし乙骨との関係は、ミゲル自身が選び取ったものです。

さらに最終決戦での参戦は、誰かに命じられたからではなく、ミゲル自身の意志による行動でした。
「宿儺が領域展開を使えない状況であること」という条件を設定し、自らの判断で戦場に赴いた。
これは夏油に従い、五条に強制された頃のミゲルからは大きな変化です。

「仕える相手」から「共に戦う仲間」へ。
ミゲルの人間関係の変化は、忠義の形そのものが進化していったことを示しています。

 

ミゲルが示す世界観の広がり

最後に触れておきたいのが、ミゲルの存在が呪術廻戦の世界観にもたらした広がりです。

呪術廻戦の物語は基本的に日本を舞台としており、呪術の体系も日本独自のもの(陰陽道、仏教、神道などの影響を受けたもの)として描かれています。
しかしミゲルの登場によって、「世界にはまったく異なる呪術体系が存在する」ことが示されました。

日本の呪術が「印」や「詠唱」を基盤とするのに対し、ミゲルの祈祷の歌は「リズム」と「ビート」に根ざしています。
この違いは単なる演出上の差異ではなく、呪術という概念そのものが文化圏によって全く異なる形を取り得ることを意味します。

ミゲルはケニア出身ですが、アフリカには各地域に固有の精霊信仰や呪術の伝統が存在します。
太鼓のリズムで精霊を呼び、ダンスで邪気を祓うといった文化は、ミゲルの術式と通じるものがあります。
作者がこうした文化的背景を意識してミゲルのキャラクターを造形したとすれば、呪術廻戦はもっと広い世界を内包した作品だったということになります。

物語は完結しましたが、ミゲルの存在は「日本以外の呪術の世界」への想像の余地を残してくれました。
それは、読者にとっても作品世界にとっても、大きな贈り物だと筆者は考えます。

 

まとめ

ミゲル・オドゥオールは、『呪術廻戦』において極めてユニークな立ち位置を占めるキャラクターです。

0巻から登場し、百鬼夜行では五条悟を10分以上足止めして「MVP」の称号を得ました。
アフリカで乙骨憂太との信頼を築き、最終決戦では黒縄なしで宿儺に肉弾戦を挑み、二大最強から実力を認められました。

黒縄という「借り物の力」から、祈祷の歌という「自分の力」へ。
夏油への忠義から、乙骨との対等な信頼へ。
ミゲルの物語は、静かな、しかし確実な成長の物語です。

そして「呪いは存在しない」という術式名が示すように、ミゲルは呪いの世界に生きながらも呪いに縛られない自由な精神を持ち続けました。
登場回数は決して多くないにもかかわらず、物語の転換点に必ず立ち会い、鮮烈な印象を残す。
ミゲルは、呪術廻戦という壮大な物語に「世界の広がり」をもたらした、唯一無二の存在です。

 

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